今ある幸運や幸せは、陰ながら助けてくれる人のおかげで成り立っていることを再確認することは人生を豊かにする上でとても大切です。
これは『だれが幸運をつかむのか: 昔話に描かれた「贈与」の秘密』(山秦幸 著、筑摩書房)を読んで学ぶことができました。
目次
昔話がハッピーエンドになるのは援助者のおかげ
本書には以下のように書かれています。
書き進めていくなかで気づいたのは、主人公の性格や行動もさることながら、むしろ、主人公を助ける援助者の重要性でした。
主人公の行動だけを見ていると、ついつい見過ごしてしまいがちなのですが、主人公が幸せになるうえで、援助者の役割が非常に大きいということに気づいたのです。
援助者は主役ではなく脇役ですので、あまり目立ちませんし、役目を終えると、すぐに消えてしまいますので、昔話の聞き手である私たちにとっても、ほとんどが記憶に残らないような存在です。
しかし、援助者に注目して、あらためて昔話を眺めてみると、むしろ、援助者の登場こそが、幸福な結末へと物語を導くサイクルを回す重要な転換点になっていたのです。
(P.167 より)
昔話の主人公のほとんどは、助けてくれる人がいたおかげで見事に幸せを勝ち取ったのだと著者は言います。
桃太郎や一寸法師など、ハッピーエンドを勝ち取った主人公の背景には、それを助けてくれた人がいたことを忘れてはいけないのです。
いつもサポートしてくれた人たち
桃太郎ではおじいさんとおばあさん、イヌ、サル、キジが助けてくれたおかげで無事に鬼退治ができました。
特におばあさんは、川から桃を引き上げたり、仲間をつくるために欠かせなかった「きびだんご」を持たせてくれたり、一番の功労者といえるでしょう。
一寸法師はおじいさんとおばあさん、そして敵役の鬼が援助者と言えます。
鬼は悪者でしたが、鬼が落としていった打ち出の小槌のおかげで一寸法師は普通の人の大きさになり、さらに大判小判の財宝まで手に入れています。
そういう意味では、一寸法師は敵であった鬼のおかげで幸運にも幸せを手に入れることができたと言えます。
あなたを助けてくれている人は誰でしょう
この昔話の教訓を考えると、すべての人が今の自分のためにいると解釈することができます。
仕事をいつも助けてくれる人、ヘアカットしてくれるスタイリスト、仲のいい友人、両親や兄弟など、今の自分には欠かせない存在は多くいますね。
さらに、たとえば、仕事で厳しく当たってくる人がいたとすると、「こうならないように気をつけよう」と反面教師として意識することで、自分の成長の材料にすることができます。
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今の環境は自分が作ってきたもの
自分を形づくっているのは、自分の周りの「人」という環境です。
その環境のおかげで今の自分がいるのです。
自分は不運だと思ってきた人は、その環境のせいにしたい気持ちもあるかもしれませんが、その環境をつくってきたのは他ならぬ自分。
まずは、周りの人たちのおかげで今の自分があることに感謝してみてください。
そうして謙虚に感謝していくと、改めてその人たちのありがたみがわかるようになります。
人に感謝できるようになると、幸福感が増して人生が豊かになりますから、人間関係もよくなり、お互いが尊重し合える関係を築いていくことができるでしょう。
今の自分があるのは、助けてくれているすべての人のおかげだと気づくことができた。
わたしはなんて幸運なんだろう。
Lucky Rookie
今回紹介した本書は、日本の昔話を様々な視点からあらためて読み返していく一冊。
桃太郎や一寸法師など、身近な昔話を様々な角度から読んで考察していくと新しい発見が次から次に出てくる、論文のようなとてもおもしろい内容でした。
興味がありましたら是非読んでみてください。
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